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個と社会に目を向ける~社会的養護における心理臨床~

私の心理臨床の仕事は社会的養護の分野から始まりました。


当時は児童虐待防止についての取り組みが急速に進み始めていた時期であり、山形県でも民間組織である「山形県児童虐待防止ネットワーク」が立ち上げられました。


社会的養護とは保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。乳児院や児童養護施設、情緒障害児短期治療施設など様々な施設がそれにあたります。


社会的養護の臨床に関わる時、私たちは子ども達の発達のプロセスや自我機能、家庭環境などに目を向けます。しかしそれだけでなく社会が彼らに与えている影響にも目を向けていく必要があるでしょう。


現在私はある児童養護施設にスーパーヴァイザーとして関わっています。1人の子どもについての話を聞きながら同時にいつも思うのは子どもを取り巻く社会のことです。


子どもとの心理療法、カウンセリングは養護施設という器に抱えられ、養護施設は地域、社会という器に抱えられています。心理療法がどんなにうまくいったとしても、それを支える器がうまく機能していなければ子ども達はその中で生き生きと生活することができません。


痛々しい歴史を生きのびてきた子ども達に接する時、たくましさを感じるとともに援助者である我々も痛みを感じます。その痛みを否認せずに見つめ、同時に私たちの住む社会を見据えていくことがこれからの社会的養護における臨床に必要なのではないかと考えています。



山形の朝